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アジア開発銀行(ADB)と国際労働機関(ILO)は21日、カンボジア労働者のスキルの未熟さと労働生産性の低さが同国の経済成長へのリスクをもたらし続けるという調査結果を発表した。
ADBチーフエコノミストのShang-Jin Wei氏は、調査結果の中で「この国の労働力の若者が大半を占めるが、その多くがビジネスニーズに合わせたスキルを身に着けていないまま就労している。若者への教育支援とビジネスシーンのミスマッチを解消することが今後の政府の課題だ」と述べた。
しかし、事態は複雑で、解決するには時間が必要だと言われている。調査では、専門家、技術者やそのアシスタントとして働いているカンボジア人の50%以上が必要な技術水準を満たしていないと記している。さらに、圧倒的多数が劣悪で潜在能力を十分に発揮できない労働環境下で必要な保護も受けられない状態で勤務している、と記している。
2011年のカンボジアの経済労働実態調査によると、カンボジアにある企業の99.8%、労働者が雇用されている73%が路面店やマッサージなどの肉体労働業務を含む中小零細企業(インフォーマルセクター:非公式経済部門)だった。「十分なスキルを持つ労働者を環境の整った企業や政府機関(フォーマルセクター:公式経済部門)、そのスキルを活かせる専門分野で働けるように、今後整備することが必要だ。学校教育システムと技術・職業教育訓練の改善にも繋がる。」と述べた。
労働省のスポークスマンHeng Sour氏は政府が2025年までにインフォーマルセクターの80%を会社登記させ、フォーマルセクターの中の商業活動となるように対策を試みているが、まだ時間がかかりそうだと伝えた。
昨年、カンボジア政府は既存の主力産業の農業や縫製業ではない分野で成長産業を創出できるように高度教育と訓練を提供するための産業開発政策と雇用政策を発表した。政策実行のために政府は約5億ドルを2年以上にわたって人材開発のために割り当てる予定だ。
経済学者のSrey Chanthy氏は「政府がこの問題を是正するには、法整備や資金、人材を十分に割り当てる必要がある。省庁レベルで強いリーダーシップを発揮していかなくてはならない」と述べている。
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