チャイナプラスワン、タイプラスワンとして注目のカンボジア。日系企業のQIP投資認可額は2012年に2億8,000万ドルと急増するも円安などの影響により近年は低迷。しかし、2015年は総合病院やホテルなど非製造業に牽引され盛り返し、今後は製造業でもタイ国境地区へ進出が相次いで予定される。プノンペン経済特区とシアヌークビル港経済特区、SANCO経済特区の3社に話を伺った。
チャイナプラスワン、タイプラスワンとして注目のカンボジア。日系企業のQIP投資認可額は2012年に2億8,000万ドルと急増するも円安などの影響により近年は低迷。しかし、2015年は総合病院やホテルなど非製造業に牽引され盛り返し、今後は製造業でもタイ国境地区へ進出が相次いで予定される。プノンペン経済特区とシアヌークビル港経済特区、SANCO経済特区の3社に話を伺った。
プノンペン経済特区のメインゲート
プノンペン中心地から約18キロの至便な立地と、高度なインフラ設備を備えるPPSEZ。日本の資本も入っており、日本人担当者も常駐、入居企業のうち日系が37社を占めている(2015年8月時点)。
ハード面のインフラ整備としては、区内にドライポートを設けているほかに、独自の13MVの発電施設、浄水施設、下水処理施設、大手通信業者による通信施設など、高度な水準のインフラを備えています。
ソフト面のインフラとしては、まずプノンペン経済特区管理棟にはカンボジア政府が導入したワンストップサービスセンターがあります。CDCを始めとする五つの政府機関から担当官が常駐され、入居企業様の各種行政手続きをサポートしています。労務マネジメント支援も含む顧客サービスを徹底しており、入居していただいたお客様が生産活動に専念できる環境作りを心がけています。治安、防災対策のほかにも、銀行やコンビニ、レストランなどの商業施設を誘致し、特区内の利便性を高めています。
立地面では、プノンペン近郊四号線沿いに位置していることから、プノンペン市内までの距離が近く、プノンペン港、シアヌークビル港およびプノンペン空港も比較的ご利用していただきやすい環境です。
カンボジアは依然として電気代や通関コストの高さ、また各制度の不明瞭な点などの課題を抱えていますが、非常に将来性のある魅力的な国です。プノンペン経済特区はこれからもカンボジア工業化のため、微力ながら最善の努力をしてまいります。
タイプラスワンの企業誘致に強みを持つ。入居企業の一つ、日本発条が2016年上期に生産を開始する予定。また、タイの鉄骨構造メーカーや、豊田通商テクノパークも入居予定。現在、最も注目を集めている経済特区。
タイ国境から車で15分。距離にして僅か7km、タイからの輸出入拠点として最適の立地です。
さらに進出企業の労務管理が比較的簡単で、若い労働者の確保が容易です。賃金がタイに比べて低いのも魅力です。
SANCOSEZは労働者の派遣サービスも提供しており、労働者の募集、採用、訓練、管理面で進出企業をバックアップしております。インフラで重要な電力もカンボジア電力公社からの許可を得て、安定かつ低価格で電力を提供できます。
また、各種ワンストップサービスを提供しており、会社の設立から工場の建設許可取得サポート等の実績もあります。通関業務などの手続きを一か所で完結するサービスも認可され、関連部局の担当官の常駐により、申請などでプノンペンまで出向く必要もなくなる予定です。一期工事地区(21ha)の雨水管、排水管などの埋設工事もほぼ完了し、電気や水も準備ができており、進出企業はいつでも操業が開始できます。
今後は65.5haの敷地内に労働者のトレーニングセンター、税関等ワンストップサービス棟、消防署、クリニックなどの設置計画が目白押しです。更に、豊田通商テクノパークの入居も予定され、SANCOSEZの動きが活発になってきており、将来が非常に楽しみです。
シアヌークビル港公社(PAS)が事業主体となる国内唯一無比の臨海経済特区。SEZと港のコンテナターミナルが一か所のゲートで直結している臨海工業団地で迅速な輸出入貨物の出入れが可能。
日本の技術を生かした質の高いインフラと、国際基準に見合った環境への配慮も備えた経済特区で、大きく三つの特長があります。まず深海港の真横という立地の特性を生かし迅速な貨物の出し入れと国内陸送費用の削減が可能です。次に日本技術による良品質なインフラ設備(工場排水処理場も含め)が完備され安全な工場生産環境が提供できること。そして駐在員の生活環境は都会の雑踏や地方辺境地の不便さがなく、健康的で快適なビーチリゾートでの暮らしが楽しめることです。
また、日本人アドバイザー&進出支援コンサルタントが常駐し、その助言指導で安心して操業ができる環境がすべて整っています。
なお、PASは誘致促進として以下の特別対応策を実施中です。
1)土地リース期間は10年~50年で自由に選択でき、面積により柔軟な価格設定。支払条件も最長3年の無利息での分割延払が可能。
2)港湾からSEZ内工場までの港トラックによるコンテナー移動料は無料。
3)EDCの大口需要家として電力購入する計画があり、更に割安での供給が可能 原材料・部品輸入/製品再輸出という輸出加工製造業にとって最適な立地環境にあり、且つ、電力事情がより一層改善されれば、従来の労働集約型軽工業から電力多消費型装置産業の最適な場所になることが大いに期待される経済特区です。
カンボジアで経済特別区制度が制定されたのは2005年と遅く、2013年12月時点で32か所が認可を受けている。電力、給水、下水、排水処理、固形廃棄物、環境保護等のインフラが整備されていること、通関、検量、原産地証明書、労働許可等のカンボジア政府への役所手続きを行うワンストップ事務所を有していること等が特徴で、現在稼働している主なSEZは次の9区。 1.プノペン近郊のプノンペン経済特区 2.シハヌークビル地区にあるシハヌークビル港経済特区と、シハヌークビル経済特区 3.ベトナム国境地区のバベット地区にあるタイセン経済特区、ドラゴンキング経済特区、マンハッタン経済特区 4.タイ国境地区のコッコン経済特区とポイペト経済特区などが挙げられる。
●法人税20%免除(最長9年、特別償却との選択制) ●輸入関税免除(輸出加工型QIP: 建設資材、生産設備、原材料 国内指向型QIP: 建設資材、生産設備) ●法に規定される場合を除き、輸出税100%免除 ●輸出加工型QIPは付加価値税10%(VAT)を輸入時に支払い、輸出時に還付
●QIPに与えられる通常の優遇措置に加え、輸入品のVATに対して免税(輸出加工型QIP: 建設資材、生産設備および原材料、中間材、副資材に対するVAT 国内指向型QIP: 建設資材、生産設備および輸出品生産のための生産材投入に対するVAT) ●特区における投資収益や特区内で受領する給与を国外の銀行へ送金できる ●特別通関手続きの適用
出典: カンボジア開発評議会「カンボジア投資ガイドブック 2013年」