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2017年1月5日
カンボジア進出ガイド

【飲食・観光】

167 カンボジアの飲食・観光②(2016年11月発刊 ISSUE05より)

ホテルの進出 The advance of Hotels

 継続的な経済成長と観光客の増加を背景に、ホテル業界の進出も盛んになっている。自身もアジア・ヨーロッパ各国の高級ホテルで働き、現在プノンペンで評判の高いブティックホテル、サン&ムーンホテルのノエル・フーラー氏は、「今後は、特にビジネス需要の高まりを見越して、高級志向のポテンシャルが高いです」と語る。



 シカゴに本社を置くハイアットホテルは、2020年までにプノンペンに高級ホテル、ハイアット・リージェンシー・ホテルをオープンさせると発表し、日系不動産会社のスターツ・カンボジアは、プノンペンに4つ星ホテル、ホテルエミオンプノンペンの建設を開始した。投資金額は5000万ドルに上り、2018年の完成を予定している。2015年には東横インが1400万ドルを投じて、プノンペンに23階建てのホテルをオープンし、カンボジアホテル協会によると、2015年にはプノンペンで20軒ものホテルがオープンした。

 一方シェムリアップでは、2016年9月カンボジアのホテルチェーン、ソカホテルズ&リゾーツが、シェムリアップで初のコンベンションセンターをオープンさせた。1000人規模の大規模会議を想定しており、宿泊、飲食、交通費用などの周辺需要を見越し、シェムリアップの観光促進に重要な役割を果たす。

飲食店の進出 The advance of Restaurants

 プノンペンやカンボジア国内のその他の地域でもファストフード店やカフェなどの飲料店、チェーン店などの外食産業は毎年確実に成長を遂げている。カンボジア人の外食にかける支出額は、2014年と2015年を比較すると約1億4000万ドル、12%増加しており、2016年もその傾向は続く見込みだ。

 現在商業省、観光省に登録されたレストランは全国に2500店舗以上、うち1000店舗はプノンペンにあるという。



 また日系レストランの進出も盛んで、日本食品の卸業としてトップシェアを誇るダイシン・トレーディングの小池聡氏は、「日本食レストランの数は右肩上がりで増えていて、マーケットも拡大しています。カンボジアや近隣アジアのオーナーなど日本人以外が日本食で出店する動きも多く見られ、日系大手チェーンの進出も相次いでいます。この流れは確実に加速、継続してゆくと予想しています」と語る。

 さらに、「中間層のカンボジア人が日本食を楽しめるお店がみられる事は大きな一歩だと感じます。味、雰囲気、量、価格帯が受け入れられれば、人が人を呼び多くの集客があるようです。様々な趣向の出店が加速する中で、日本の大手食品メーカーの注目度も上がっています。菓子、飲料では森永製菓、カゴメ。酒類では久保田、霧島、黄桜など、日本を代表する企業の正規店として販売しています。いかにして更にカンボジアに日本食を広めてゆけるか。お客様とメーカー様双方に要望やヒントを貰い、お手伝いすることが重要な業務の一つだと捉えて頑張っています」と現状を語った。

課題と今後の取り組み Problem and Future efforts

 旅行客数470万人の割合を国別に見ると、ベトナムが20.7%と最も高く、続いて中国14.5%、ラオス8.5%と続き、日本は第7位の4.0%で年間約21万人。アジアからの旅行客が77.8%を占めており、ムスリム観光客向けのハラル認証の取得や、中国の人民元、日本円の受入れなど、政府もアジア人観光客の誘致に向けて様々な施策を検討している。それに伴い、最長3年間の滞在を可能にするビザの発行も発表された。実現すれば、観光客や投資家は2年間か3年間のマルチプルビザを申請でき、何回でもカンボジア国内に出入国できるという。

 しかし一方で、サービスはクオリティを欠いており、世界経済フォーラムのレポートでは144カ国中105位にランキングされている。サン&ムーンホテルのフーラー氏は、「現在、我々のホテルには130人の従業員がいますが、うち半分は教育を受けていません。ホテルのお客様は海外への訪問経験がある人が多く、世界のスタンダードを知っています。しかし、働く当人達はホテルに泊まった経験がない。そのため、心構えや話し方、ボディランゲージなど本当に多くを教える必要がありますし、これを国際的なレベルまで引き上げるのは難しいです。今後はホテル・レストラン協会主導で、人事育成とホスピタリティの基本知識を持った人を市場に送り出すべきですね」と語る。

 カンボジアの観光産業の急成長に伴い熟練労働者の需要も上昇し、多数の団体が訓練校を開設している。フランス系NGO、アジール・プル・レ・カンボジアによって2002年に設立された訓練校では、学生は毎月25ドルの補助金を受けながら、受付、調理、ホールなど1年間の各コースを無料で受講できる。卒業生の就職率は100%で、9割がシェムリアップの5つ星ホテルやレストランで働く。100名の定員に年間400~500名の申込があり、来年は施設の拡大に伴い定員数を増加する予定だ。


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