ミャンマーに進出する日系企業のための
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業界別インタビュー

2017年6月15日

インターネットインフラを通じてより便利に快適に

通信・IT

NTTコミュニケーションズ NTT Communications Co., Ltd.
カントリーマネージャー: 渡辺 潤平 Junpei Watanabe
 電気や水道や道路と同様に「インフラ」と称されるもの、それはインターネットだ。数年前までGmailの閲覧が禁止されていた状況から比較すれば格段の進歩を遂げているとは言え、まだまだ他国と比べると脆弱と言えるミャンマーの通信環境。そんなミャンマーで通信サービスの提供を手がけるのが、日本を代表する通信会社・NTTコミュニケーションズだ。2012年10月にヤンゴン支店を開設しオフィス向けICTインフラ構築からスタートした同社が2016年にはミャンマー運輸・通信省から通信サービスライセンスを取得し、ヤンゴン市内全域にインターネット接続サービスを提供している。同支店のカントリーマネージャー渡辺潤平氏にミャンマーの通信業界を取り巻く環境や今後の成長性について話を聞いた。
ヤンゴン市内全域で企業向けインターネット接続サービスを展開

—ミャンマーへ進出されてからの経緯と現在の体制を教えてください。

 2012年10月にヤンゴン支店を開設しました。オフィス向けのICTインフラ構築を皮切りに、2013年には、多国籍企業が数多く入居するヤンゴン市内の高層オフィスビル「SAKURA TOWER」内にてインターネット接続サービスの提供を開始しました。当時、申し込みから開通まで3〜6ヶ月かかっていましたが、申し込み3日後から利用開始できる画期的なサービスとして注目を集めました。また、国際専用線サービスやメール・ウェブホスティングサービス等、順次サービスを拡充してます。そして、昨年2016年からは、新たに通信サービスライセンス(NS License)を取得し、ヤンゴン市内全域で企業向けインターネット接続サービスを開始し、日系・非日系の沢山のお客様にご利用頂いてます。体制としては、現在12名(うちエンジニアが6名)でサービスを提供しています。

市場の活気に魅了され、自ら手を挙げミャンマーへ

—渡辺様のご赴任の経緯をお聞かせください。

入社当時から、エンタープライズセールスつまり法人向け営業を担当しております。日本では大手放送局様・金融機関様を担当し、本社・支店間の基幹ネットワーク構築、コールセンターシステム構築(IP-PBX、IVR)等、大規模プロジェクトに参画してきました。
 そして、2012年7月からタイに赴任し、日系企業向けの営業を担当。日本時代とは違い、担当するお客様の業種、取り扱うサービスが多岐に渡り、インターネット接続サービスや国際・国内専用線、データセンター/クラウドサービス、セキュリティ、オフィス・工場のITインフラ構築のサポート全般に対応していました。
 ミャンマーは、隣のタイから見ても日系企業のみならず世界中からの進出・投資が活発化しており、さらに伸びると感じていました。ビジネスチャンスの宝庫とも言える市場の活気に魅了され、自ら手を挙げて、2016年4月に赴任しました。

接続速度は周辺国と比較しても遅い

—現在のミャンマーの通信事情をどう捉えていますか。

皆様もお感じのように通信インフラはまだまだ改善の必要があります。通信速度を定点観測していますが、隣国の数分の一の速度にとどまっています。また、通信断も多い状況です。
それには、ミャンマーならではの様々な理由があります。ミャンマーは海外に接続するためのバックボーン容量が他国に比べて少ない事、また、国境付近や海底ケーブルで障害がよく起こり、インターネット全体が遅くなる事がございます。ヤンゴン市内においても、建設工事で作業員が誤ってファイバーを切断してしまったり、交通事故等で電柱が倒れて通信が遮断してしまうことはよくあります。電力事情の脆弱さも、サービス断の原因となります。ただし、今後新たに海底ケーブルが追加される等、通信品質は改善される見込みです。

事業者の数としても、今まで限られた通信事業者しかサービスを提供できない状況から、2014年以降に外資系・民間企業へライセンスが発給され、ミャンマー資本新興や我々のような外資系通信事業者もライセンスを取得、今では合計数十社以上の事業者が勃興し、非常に競争の激しい市場環境となっています。
 このような状況下で「いかに通信品質を担保するか」が差別化のポイントになってきています。

通信の力でより便利に快適に

—御社サービスの特徴をお聞かせください。

 弊社のインターネット接続サービス(Digi-path Internet)は完全冗長化されたバックボーン設備と光ファイバー専用線を経由して国際インターネット網へ接続するため、高速・安定した通信環境を実現できます。また、24時間365日の体制で監視しており、トラブルに迅速に対応できるのも大きな特徴です。
 先進国では、通信事業者が異なっても、通信品質に大きな差が生じることはありません。しかし、ミャンマーでは通信事業者によってサービス品質に差があるのが現実です。通信事業者選びが重要で、インターネット全般の品質を左右する割合が高いといえます。
 実際にお客様の声としても、安定した通信を要望する声は非常に多く、高品質なサービス提供に対するニーズも強く感じています。進出する外資系企業が増加する中、既存の通信品質に満足ができないお客様からのご相談が絶えない状況です。

—今後の展開は。

 2016年は通信ライセンス取得により、インターネット接続サービスや国内専用線の提供を開始し、通信品質の向上に取り組みました。
 2017年は通信インフラを活用して、より便利かつ快適に業務が行うためのサービスを展開できればと考えてます。通信品質が向上すれば、業務効率化に取り組んだり、セキュリティや事業継続対策のニーズが高まると思いますので、例えばデーターセンターやクラウドサービスの利用が増加することが予想されます。
 今後、進出してくる外資企業だけでなくミャンマー企業のお客様にも高品質な通信サービスを提供し続けたいです。通信はまさにインフラです。これからも、サービス提供を通して、お客様やミャンマー全体に貢献していきたいと考えています。


NTTコミュニケーションズ NTT Communications Co., Ltd.
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