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業界別インタビュー

2017年6月22日

長年の経験を活かしお客様と一緒に魅力あるツアーを作っていく

ツーリズム

株式会社サイトラベルサービス ヤンゴン支店 SAI TRAVEL SERVICE CO., LTD. Yangon Office
支店長: 太田勝也 Ota Katsuya
長年の経験を活かしお客様と一緒に魅力あるツアーを作っていく
「ラストフロンティア」と称されるミャンマー。かつては外国人にとっても訪問することさえ敷居の高い国と言われてきていたが、民主化と同時に外国人の来訪者数は爆発的な伸びを示している。サイトラベルは、1993年4月からヤンゴンでオペレーションを始めている日系の旅行会社で顧客からの信頼も厚い。ミャンマーの変化を肌で感じてきた太田氏に、ミャンマーの旅行業の今後と現在の課題を中心に話を聞いた。
(取材日/2016年2月23日)
他社に先駆けてミャンマーに進出した旅行会社

-会社と太田さんの自己紹介をお願いします

 弊社はタイ、ベトナム、カンボジア、ミャンマーを中心に、地上手配を専門にしている旅行会社です。地上手配というのは、旅行代理店のニーズに合わせて移動手段や宿泊施設、ガイドなどを含めた観光に関する全ての手配を行う事です。弊社からお客様のニーズに沿った提案をさせて頂いたり、一緒にツアーを企画させて頂いたりしています。
 1993年4月にヤンゴンに事務所を開設し今年で24年になりました。私自身は、弊社に入社する前は、新聞社で働いたり、大阪に事務所があったタイの投資委員会で働いたりしておりましたが、海外駐在を希望して98年に弊社に入りました。気がつけば、駐在して19年というご縁となりました。

ミャンマーを知り尽くしているからこそ出せるオリジナリティ

-御社の強みを教えてください。

 弊社は、ミャンマーでオペレーションを始めて24年の歴史があります。会社の経験の蓄積があり、私自身19年間ミャンマーの旅行業界に携わってきました。ミャンマーのツアーと言えばバガンやゴールデンロック、インレー湖などが主ですが、弊社では広範囲にわたる商品を扱うことができます。例えば、ナガ族(インド北東部、ミャンマー国境近くに住む少数民族)の本格的なツアーを最初に売り出したのは弊社です。95年に外国人4人だけでナガ族の村に視察に行き、商品開発に至りました。私自身が添乗をして、お客様により安全で快適な旅を楽しんで頂くこともあります。経験や知識、ミャンマーならではの常識、それを生かせる強みを持っていますので、色々ご相談をいただければお力になれると思います。

民主化の流れに追いつくためには、期待感に応えられるインフラの整備が必要

-ミャンマーにおける旅行業の現況と課題について教えてください。

 最近は日系の旅行会社も多く進出してきています。ミヤンマーのポテンシャルに魅かれ、また、旅行業は比較的始めやすいので、旅行業から進出を考える人も多いのかもしれません。ライセンスを取って、旅行業を名乗って別の商売をやっているようなところもあるようですが、ホテル観光省が定期的に取り締まっています。
 私自身、アウンサンスーチーが軟禁されている間は、大きな変化は期待できないと思っていました。ティンセイン大統領下の軍政から民政移管、またNLD政権となり劇的な変化を期待しておりましたが、実感としてはそれほど観光客が増えたという気がしていません。実際に来緬する邦人の数は増えていますが、かなりの数が観光というよりは、視察や出張者などです。ミャンマーはビザの取得をしないと入国できませんし、またパッケージツアーも他国と比較しても割高です。ヤンゴン市内の観光だけではそれほど長期間滞在することはできませんし、移動するにも、国内線は高く、また観光地までは距離があるため、車両での移動は時間がとられます。タイやベトナムなどの近隣国に観光客が流れていますので、観光インフラを整えて、競争力をつけて行くことが課題と言えます。

ミャンマーの魅力をお客様にも伝えたい

-太田さんが感じるミャンマーの課題と魅力とは。

 観光インフラの一つとも言えますが、ミャンマーでは様々な基準がまだ整っていません。例えばアセアン観光人材共通職能基準というものがあり、ホテル及び旅行業に共通して採用すべき最低限の職能基準を設けていますが、実際には機能していません。また、人材を専門に養成する教育機関も十分に整っていません。ある程度の金額のするホテルやレストランでも、清掃が徹底されていなかったり、質やサービスも近隣国と比べて金額に見合うものを提供できていません。私たちも提携先には安全や衛生、サービスの指導をしておりますが、徹底させるのは難しく、また選択肢もそれほどない状況ですので競争が働いていないというのが現状です。また、ガイドの数もまだ十分とは言えません。
 ただ、以前は近隣国のスタンダードに近づけるための取り組みすら難しかったですが、それを実践する環境自体は整ってきたように感じています。また、なかなか商品にはできませんが、ミャンマーの地方には魅力のある場所が沢山あります。「ビルマの竪琴」の舞台にもなったモン州のムドンには日本軍が作った温泉があり、このような日本人が関心を持ちそうな穴場もいくつかあります。ヤンゴンや有名な観光地だけではなく、そういうミャンマーの地方の魅力を知ってもらいたいと思っています。私自身、そんな魅力があるから、19年間もミャンマーに魅かれながら駐在できたのかもしれません。

-次の一手は。

 弊社は地上手配を中心に行っておりますが、お客様からはビザの取得に関する問い合わせがかなりあります。ミャンマーでは、ビザと共に滞在許可の取得を行わなければいけませんが、これらのルールは頻繁に変わっています。近隣国では、就労する際には就労許可の取得が義務付けられていますので、ミャンマーでも、近隣国に準じて就労許可の取得が導入される予定です。導入直後はかなりの混乱が予想されますが、長年のネットワークを駆使し、これらの取得を我々が行い、ミャンマーに駐在する方々の煩雑な手続きを代行したいと考えています。


株式会社サイトラベルサービス ヤンゴン支店 SAI TRAVEL SERVICE CO., LTD. Yangon Office
事業内容:ツーリズム
URL: www.saiweb.info

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