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業界別インタビュー

2016/12/09

北原病院グループのバックアップ体制で質の高い医療を提供[医療・医薬] 林祥史 (1/3)

医療・医薬

サンライズジャパン病院 Sunrise Japan Hospital Phnom Penh
院長: 林祥史 Hayashi Yoshifumi
近年、国家経済の成長と平均収入の増加に伴い、カンボジア人の健康意識も変化している。金銭面での医療アクセスは可能だが、実質的には「診察してほしい病院」が少ないというのが現状のようだ。サンライズジャパン病院は、医療が黎明期にあるカンボジアで、日本の北原病院グループの海外展開事業として日揮株式会社と産業革新機構との3社合弁により誕生した。院長の林祥史氏に、カンボジアでの高品質医療提供体制について話していただいた。(取材日2016年8月)
ビジネスとして行う医療支援

―― まず、自己紹介をお願い致します

林祥史(以下、林) 2005年に東京大学医学部を卒業後、医師としては亀田総合病院という千葉の病院で、初期研修医と脳外科の研修を行いました。4年後の2009年に東京の北原国際病院に移ってから、医師としては脳外科のキャリアでずっとやっています。

 北原国際病院に移った理由としては、カンボジアプロジェクトなど海外事業を色々手がけていて面白そうだったからです。そして2015年の11月に、いよいよ病院ができるということでカンボジアに赴任してきました。

―― カンボジアプロジェクトを面白そうだと思われたきっかけは何でしょうか

 まず、北原先生がされている海外事業というのが他に無いスタイルで、強く惹かれたからです。医療で海外に行く場合に最も多いのは留学で、日本には無い高度な医療を欧米で学びます。もう一つはボランティア活動で、国境なき医師団など、途上国支援という形式です。このプロジェクトはそのどちらでもありません。日本の医療を医療が乏しいところに届けるということを、ボランティアではなくビジネスでやります。その第一弾がカンボジアになったということで、非常にやりがいを感じています。

 2009年からの調査活動としましては、多い時で1カ月に1回カンボジアに来て、現地の医療の様子を見たり、時にはカンボジア人の先生と一緒に手術に入ったりしました。一番面白いのは、カンボジアがどんどん成長していることです。この6年間で非常に変わりました。当時は道路も舗装されておらず、一般の方々も全体的にそれほど裕福ではありませんでした。今は中間層が増加し、カフェやイオンモールができるなど、国に勢いがあります。そのなかで我々の活動ができるというのは非常にやりがいを感じます。

日本でも高品質な医療をカンボジアで提供

――サンライズジャパン病院の特徴を教えてください

 私たちは、カンボジアの人々に十分な医療を提供したいという思いでこの病院を設立することになりました。今は国内に良い病院がないということで、タイ、ベトナム、シンガポールなどの海外に医療を受けに行っているという状況です。私たちの調査によると、年間21万人というかなりの人数が海外で診療を受けています。そういった人たちに、きちんとした質の高い医療を届けたいというのが、まず第一にあります。

 質が高いと言いますのは、我々医療者の半分が日本の資格のある日本人で、残り半分がカンボジア人を雇うという形式だからです。日本での十分高品質な医療を提供できるようにと考えておりますので、それがしっかりできれば、もちろんカンボジアのどの病院よりも質は高いですし、正直タイやベトナム、シンガポールにも負けない、質の高い医療を提供できると思っています。

 全ての医療行為は日本人の管轄の下で行われることになっており、カンボジア人医療者の判断だけではまだ早い状況です。ただ患者さんはカンボジア人がほとんどでクメール語対応になりますので、カンボジア人医療者に入ってもらいます。通訳という役割の他に教育も含めておりますので、ゆくゆくは半々の比率からもっとカンボジア人を増やしていきたいと思っています。言語の面が、一番の挑戦です。

――ほかの病院と違う点は何でしょうか

 カンボジア人が国内の病院に行きたがらない理由は、病院に行っても検査の説明や治療方針などをきちんと説明してくれないからだと聞いています。また、医療者の態度が横柄だと聞いています。ですから弊院はしっかり丁寧に説明し、十分理解してもらった上での治療を最優先にします。

医療体制をバックアップするテクノロジー

――サンライズジャパン病院の設備やサービスについて教えてください

 救急センター、一般内科・一般外科、脳卒中・脳外科センター、検診センタ―の4つのセンターがあります。救急で24時間365日見られるように、十分な検査や治療の機械、ICU装置とかなどしっかり揃えています。カンボジアでは、交通事故で頭の怪我をして命を落としてしまうことが多いようですので、救急をしっかりやろうと思えば脳神経外科は必須です。

 東京の北原病院も脳外科が強みですので、そういう意味ではカンボジアだけでなく周辺国以上の質を提供できると思います。検診についても、日本のクオリティで提供するつもりです。カンボジア国内でも検診できる施設はいくつかありますが、日本では戦後すぐに検診ができるなど意外と歴史が長いので、日本のやり方が患者さんにとっては最も質が高いと思います。

――独自の取り組みはございますか

 本当は2,3年前にオープンしたかったのですが、申請手続きも建築も大変で8年くらいかかってしまいました。その分、言語の面でも色々と準備ができ、NECさんと共同で問診補助システムを開発しました。カンボジア人の症状を聞くときに全て通訳するのは大変なので、クメール語で出てくる質問にカンボジア人が答えるとそれが自動的に英語か日本語に変わるというシステムです。

 問診補助システム以外ですと、日本からの遠隔支援が挙げられます。日本人医療者がいるといってもまだ少なく、医師でいうと4人だけである程度幅広くカバーしないといけません。不得意な領域があれば、日本から遠隔支援してもらうようになっています。ウェブ会議システムを利用し、日本の北原病院グループでバックアップする体制です。我々が対応できない手術の場合に日本へ運んでもいいのですが、患者さんの都合でそれができない時は日本から出張してもらいます。循環器内科の先生と整形外科の先生は出張で来てもらうほか、画像診断は日本の放射線医に診てもらいます。

 カンボジアにはしっかりした病理医がいないということで、病理に関しても日本に送って判別して頂きます。このような体制で、日本の質をしっかり提供できます。(取材日2016年8月)
次回へ続く


サンライズジャパン病院 Sunrise Japan Hospital Phnom Penh
事業内容:総合病院
URL: www.sunrise-hs.com
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