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業界別インタビュー

2016年8月11日

Jマネジメントをカンボジアに役立ててもらい、最後は「Cマネジメント」へ[人材]伴俊夫 (2/4)

人材・コンサル

カンボジア日本人材開発センター CJCC
チーフアドバイザー: 伴俊夫 Ban Toshio
定年までの最後の4年間は、科学技術の振興を目的とした本田財団で働いていた。ここでは、科学技術の素晴らしさはもちろんだが、エコテクノロジーという観点から「人の役に立っているか」も評価した。これまで人にフォーカスしてきた伴氏に、カンボジアの事情も踏まえつつ、CJCCによる人材育成について詳しく伺った。(取材日/2016年2月)
日本が一方的に支援しに来る場所ではない

前回の続き
 私はチーフアドバイザー、日本側の機関の代表です。ここよりも前に設立された他の国の日本センターは当初日本人が所長だったり、共同所長だったりしますが、カンボジアは比較的後に設立されたため、最初からカンボジア側の自律運営を目指した状態で力を付けていくやり方でした。ディシジョンメイキングは彼らがやるけれど私たちはイコールパートナーとして脇役として働く。その代り、センターの運営で両国にいろいろなベネフィットが出るけど、それを日本とカンボジアが同じレベルで享受するということを目指しています。つまり日本が一方的に支援しに来る場所ではないということです。カンボジア経済の発展の手伝いもしますが、その結果として日本からの投資や企業進出が増え、そこにまた必要な人材の供給ができるという、日系企業進出のお手伝いをする事業をしているとも言えます。

 フェーズ2までの認知度調査によると、おかげさまでプノンペンの知識層、学生とビジネスマンのほぼ70パーセントの人がCJCCのことを知っていることがわかりました。5年前の調査では35パーセントだったのが、今ではほとんどの人が知っている状態です。日本政府が国民のお金を使ってこれだけのことをやっているわけですから、ちゃんとカンボジアの人に知ってもらって、センターに人が来てもらわないと、相互交流も人材育成もできないですからね。建物は動かせませんのでとにかく多くの人に知ってもらって集まってもらう必要があります。2014年度は年間で18万人の訪問者がありました。2010年度は7万人程度でした。2016年2月に在カンボジア日本大使館との共催で実施された第5回日本カンボジア絆フェスティバルも、年々来訪者が増えています。4日間で18000人のお客さまをお迎えしました。今ではおかげさまで非常にポピュラーなお祭りに成長したと思います。みんなに知ってもらう、来てもらうというのが一つの大きなキーです。

起業家の育成

 ビジネス教育、日本語教育、文化交流について説明すると、ビジネス教育は起業家育成コースが一つのメインです。半年のコースが2回あって、年間80人くらいの若手人材が育っています。もう一つ重要なのは短期のマネジメントコースです。ここではすでに会社を立ち上げた人が経営で路頭に迷わないようにどういうマネジメントをしたらいいのかを教えています。

 起業に焦点を当てている理由は、たとえばカンボジアの学生さんは、学校で一生懸命勉強して将来は大企業に行って活躍したいという未来像は描けないんですね。カンボジアは残念ながらまだあまり大きな企業がないため就職口があまり潤沢ではなく、自分の専門性を生かした就職が必ずしもできていないのが現状です。9割程度の人が何時かは自分で会社をつくりたいと言います、そのためにいろいろ勉強して知識を得たいと考えているようです。

 起業家の育成は単に個人のニーズがあるからだけでなく、ポルポト時代にすべてが荒廃したあと、この国を復興するために民間の経済を振興させようということです。日本では終戦間際、東京や大阪など多くの都市が焼野原になり、広島や長崎にも原爆が落とされました。そこで戦後多くの新しい企業が日本でも育ちました。そういうことができる人たちをここで育てる、カンボジア政府がこのセンターに期待していることでもあります。 

日本型の経営

 J-マネジメントとは簡単に言うと、現場を大事にする、そして仕事を任せることで人を育てる、というものです。カンボジアの労働慣行はどちらかと言えば欧米流です。多くの会社が人を育てることはせず、必要な人を雇います。たとえばトップ、中間管理職、現場の人がいるとして、中間管理職を増やしたければ、それに見合った人を外から雇ってくるということになります。したがって現場にいる人はずっと現場のままです。この国では会社をどんどん移ることで、キャリアをアップしていこうという考え方があります。日本企業は現場から順次人財を輩出していきます。そういう考え方がこの国にとって大事なポイントでしょう。

 たとえば今カンボジアの企業経営者は、中間管理職のいい人がいないと嘆きます、雇いたいっていってもそういう人はなかなか居ないんです。労働市場が成熟していないので、必要な人がどこかを探せば見つかるという状態ではありません。みんなが若く、駆け出しで、経験がありません。トップの人は若くても大変優秀であるためギャップが大きいです。きちんと現場の力を育てていくことが大切です。元来日本型マネジメントと言っても、いろんなスタイルがあって何か一つ簡単な共通パッケージがあるわけではありませんが、我々がカンボジアに於いてことさら重要と考えているのは現場主義、人を育てるということなのです。

 もちろん実際の日本の経営の在り方すべてが正しいわけではなく、中には非常に古臭い、時代に合わない、世界に通用しないような経営スタイルも結構あるわけです。そういうものを移植しようとは思っていけません。日本発だけど世界やカンボジアで通用するマネジメントの在り方を模索しながら、ここでカンボジアの人に勉強し実践してもらいたいのです。

 最終的には日本のそっくりさんの経営スタイルを作るのではなく、カンボジアにマッチした、いわば「C-マネジメント」をカンボジア人の手でしっかり創ってもらうというのが目標です。あらゆるマネジメントは人が基本であるため、国によって少しずつ違って当たり前。カンボジアの風土にマッチしたものを発展させないといけません。それでも非常に重要な、共通に持てる考え方や哲学があるから、それを基盤としてこの地に合う形のマネジメントを伝えていきます。すでにいくつかのカンボジアの企業の要請に応じ、個別のトレーニングを提供しています。(取材日/2016年2月)(次回へ続く


カンボジア日本人材開発センター CJCC
事業内容:人材開発等
URL: http://www.cjcc.edu.kh/

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