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  • 2016年3月4日
  • カンボジアニュース

卒業生が多数活躍。カンボジアの観光業を支える「おもてなし訓練校」[社会]

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(c)Phnom Penh Post

プノンペン都内のレストランの調理場で、注意深い目でシェフを取り囲む学生たちがいる。高級フランス料理店「トパーズ」を含め、様々な国の首都にある高級店で勤務経験がある熟練シェフから食事のセッティングについて熱心に学んでいる。

10年以上にわたりホテルやレストラン業界へ卒業生を排出し続けているフランス系NGO、プール・アン・スリール・デ・アンファン(Pour un Sourire d’Enfant (PSE))の訓練プログラムだ。プノンペンポスト紙によれば、シェフは学生たちがカンボジアや海外のホテル、レストランでも仕事を得られるように自分の経験を伝えたいと語っている。

洋食やアジア料理9ドルのランチセットが目当ての客でいつも混雑する一流店で、学生たちは月曜から金曜まで厳しく指導される。PSEの教育プログラム作成責任者は、客がランチサービス中に学生の不足点に気づくことが、彼らのキャリア開発にとって良い効果をもたらすと語っている。

カンボジアの観光需要が大きくなるにつれて、ホテルやレストランで熟練労働者の需要も上昇する。観光産業は2009年から急速に成長し、職業訓練に対する需要を牽引してきた。2015年は420万人以上の観光客が入国したが、観光省は2020年に年間750万人にまで膨らむと予想しており、これまでたくさんの民間団体がホスピタリティのための訓練校を開設した。

シェムリアップで最も長い歴史を誇るホテル従業員の職業訓練校の一つは、フランスのNGO、アジール・プル・レ・カンボジア(Agir Pour le Cambodge)によって2002年に設立された。恵まれない環境で育った17才から25才の若いカンボジア人を対象に、受付、調理、ホール係、ルームサービスなど1年間の各コースを無料で提供している。また、学生には毎月$25の補助も与えられる。

同紙によれば、シェムリアップの他の職業訓練校は単に食品や調理の訓練をするだけで無料ではないところも多く、巨大な観光需要を背景に研修を金儲けの種にする訓練校もあると、同NGOの関係者は語っている。

この訓練校は14年前に創業以来、年間で平均400~500名の入学申込があるものの100名程度の定員だったが、来年施設の拡大に伴い定員数を増加する。卒業生の就職率は100パーセントで、大部分がシェムリアップに残り、9割が5つ星ホテルやレストランで働く。

この訓練校とパートナー提携をしている18のホテルはシェムリアップにあり、すべて4つ星と5つ星という名高いホテルばかりだ。学生がインターンとして労働力を提供する対価としてパートナーホテルから学校に寄付金が提供されるほか、募金などによってプログラムが運営されている。

同紙によれば、ある著名なホテル経営者は、民間訓練校はホテルやレストランに多くのスタッフを輩出し、彼らは数年後に中間管理職やマネジメント層に成長していくと語っており、このようなホスピタリティ訓練校や社内研修プログラムは未経験者の教育に役立つが、本当に必要なのは上級管理職のための政府支援の職業訓練組織であると付け加えている。

観光業界が非常に速く成長し、新たなホテルやレストランがオープンしているなかで、社内教育だけではスタッフの質、量ともに十分に確保できない。高い技術を教える公立の専門学校の設立が待たれる。

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