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  • 経済
  • 2016年2月16日
  • カンボジアニュース

カンボジア証券取引所は中小企業に上場の検討を促す[経済]

cambodia20160216
(c)The Cambodia Daily

 昨年9月、カンボジア証券取引所は資金繰りに苦しむ中小企業が資金調達をしやすくなるよう新しい計画を発表した。
カンボジアでは中小企業が銀行から融資を受けることは難しいため、政府は「成長市場(Growth Board)」と名付けた市場を設置し、大企業よりも要件や資本制限を緩やかにして中小企業が株式を発行できるようにした。

 しかし、設置から約6年がたった今でも成長市場に参入した中小企業は無い。中小企業が株式を発行し投資家の信頼を得て、中小企業に資本が回るようになるには、まず金融に関する教育とビジネスの透明性が必要である。

 成長市場の要件は緩和されているにもかかわらず、中小企業の大半が上場基準に達していないと指摘するのはカンボジア証券取引所、上場開示部部長のヘウ・ラチャナー氏だ。

 「この市場には依然として中小企業がいません。問い合わせは来ましたが、多くの企業が必要な財務諸表を作るのにさらに時間がかかる状況です。私たちはどの中小企業も今年中に上場できるとは思っていません。まずは企業の財務報告の透明性を高める必要があります」

 さらにラチャナー氏は、カンボジア証券取引所が中小企業向けのワークショップを開催し、株式発行の利点への理解を促し、IPO(新規株式公開)手続きの法的・財務的要件に沿って指導を行った実績を語った。

 通常の市場への上場には750万ドルの純資産と監査済み財務報告2年分が必要であるのに対し、成長市場に上場するには50万ドルの純資産と監査済み財務報告1年分で足りる。

 しかしこのような緩和された要件でも満たせる中小企業は一握りであり、新興企業の株式発行は依然として曖昧な状況であるとカフェチェーン店のブラウンコーヒー業務執行社員で共同創始者のチャン・ブンレアン氏は話す。同氏は家族からの融資を受け2009年にブラウンコーヒーを設立した。

 「市場は正しい方向に進んでいます、しかしまだ若いのです。事業主はリスクについてもっと理解を深める必要があると思います」と同氏は話す。

 さらに、多くの新興企業が株式を発行することによって統制を失うことを恐れ、長期の投資パートナーや信頼できる家族からの投資を好むと指摘する。

 「ブラウンや他の中小企業のような会社は、もっと短期で株を売れるプライベートの株式パートナーや家族からの財政的支援を求める傾向があります」と同氏は話した。ブラウン設立の経緯はカンボジアの中小企業の資金調達の仕方の象徴ともいえる。

 「銀行は担保が欲しいですし、中小企業に融資するのはリスクが高いように思われます。だから中小企業の人々は友人や家族から融資を受けるのです」。こう指摘するのは企業金融や投資に焦点を当てている不動産投資会社JSMのCOO、クリストフ・フォルシネッティ氏だ。

 「株取引がすぐに変わるとは思いません。上場はこれまで中小企業が避けてきた財務諸表や法的文書の提出、税金の支払いなどのコストがかかるようになるということです」と同氏は話す。

 政府の2015年産業開発政策報告書によると、中小企業の多くはまだ商業省に正式な登記をしていない。この報告書によると、「小規模企業の62.83パーセントが、中規模企業の28.57パーセントが登記されていない」とされ、さらに「適切な簿記がないことが中小企業が事業の拡大のために必要な融資を受けることを阻んでいる」と指摘している。

 透明性の高い企業やさらに強い規制環境、熟練した金融分析、ハイリスクを狙う投資家などを含んだ金融システムの成熟もカンボジア証券取引所に対する信頼を高めるために必要だろうとフォルシネッティ氏は話す。

 「カンボジア証券取引所では1日の出来高が1000ドルしかないこともあります。投資家にとって魅力的な市場ではないのでしょう。投資家がおらず流動性がないためにIPOの資本注入があっても株価が下がるのです。投資家はまずシステム全体に信頼をおきたいと思っています。だから信頼が得られて初めて流動性が高まり株式の発行も増えるということです」と同氏は続けた。

 カンボジア証券取引所は依然として大企業を市場に誘致することで上場への信用・信頼を高めようとしている、とカンボジア証券取引所証券市場事業部部長のラム・ソレイル氏は話す。

 「上場する企業が増えれば信用を得るきっかけができると私たちは考えています。特に金融部門から上場する大企業を誘致しています」と同氏は話す。

 2011年にカンボジア証券取引所が設置されてから上場したのは3社のみである。しかし今年、プノンペン経済特区(PPSEZ)や台湾の衣料品製造メーカーのTYファッション、シアヌークビル自治港(PAS)がIPOを準備しており、その数は倍になると見込まれている。

 さらにソレイル氏は、カンボジア証券取引所が銀行のローンや未公開株と競争する一方で、同証券取引所は成長を狙う企業に対して自身を補助的な融資手段として売り込みたかったのだと話した。

 「私たちは企業にはカンボジアだけでなく世界を見据えてもっと野心的になってほしいと思っています。しかし多くのカンボジアの企業はそういった考えを持っておらず、成長機会を逃しています」と同氏は今後の期待を述べた。
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本記事は翻訳・翻案権の許諾を得て掲載しております。

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